2004.05.24

■ 目から鱗の本(3)~ 幼児期から違う?!

"The Geography of Thought" by Richard E. Nisbett の本にまだまだ、興味深い記述があるので、引き続き紹介します。

1.本当に子供の頃から違うらしい

Even two-year-olds differed. American infants were somewhat more likely to choose the object than were the Japanese infants.

 こういう違いは後天的なものだと思うのだが・・・。

2.同じものを見ても見ているものが違う?!

Westerners and Asians literally see different worlds. Like ancient Greek philosophers, modern Westerners see a world of objects--discrete and unconnected things. Like ancient Chinese philosophers, modern Asians are inclined to see a world of substances--continuous masses of mattter. The Westerner see an abstract statue where the Asians see a piece of marble; the Westerner sees a wall where the Asians sees concrete.

 ここまでくれば笑い話も作れますね。
 
同じものを見ているはずなのに、注目しているものが違うというのはショックですが、こういう事をしっかり頭に入れておかないと、とんちんかんなWeb画面を作ってしまいます。

5月 24, 2004 ■ 目から鱗の本 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.23

■ 目から鱗の本(2)~ Web画面作成者必見!!

現在進行形の英語(5)~ collectivistの識別方法の所で述べましたが、"Psychology" by Peter Gray では、西洋人をindividualist、アジア人をcollectivistと大別しています。これはアジア人(Asian)と西洋人(Westerner)の違いを強調しているのですが、この違いを詳しく解説している本があります。"The Geography of Thought" by Richard E. Nisbettです。

この本には"How Asians and Westerners Think Differently...and Why"という副題が付いています。この本では、上記の collectivist と individualist は、interdependence と independence という言葉で表現されています。

The words were either independent in nature (e.g., "I," "mine") or interdependent (e.g., "we," "ours").

という訳です。また、

Of course, Easterners are constantly being "primed" with interdependence cues and Westerners with independence cues.

とさらりと言ってのけます。

Nisbett は、この本の中でおもしろい実験をしています。私はこれを読んで衝撃を受けました。Web画面作りやグローバルなWebビジネスの進め方に恐ろしいほどの示唆が得られたからです。

まず、以下のように表現しています。

Asians view the world through a wide-angle lens, whereas Westerners have tunnel vision.

これを証明する実験が行われています。実験は京都大学の学生とミシガン大学の学生を使って行ったと書いてあります。水槽の中を魚が泳いでいるシーンを見せます。この水槽には、大きく、鮮やかな色をした速く動き回る、とにかく「目に付く(focal)」魚がいるのです。両大学の学生がこれを見て、まず何に注目したかが実験内容です。

Japanese participants was likely to be one referring to the environment ("It looked like a pond"), whereas the first sentence from Americans was three times as likely to be one referring to the focal fish ("There was a big fish, maybe a trout, moving off to the left").

結論としてはアジア人は全体をとらえて、その細部を観察するが、西洋人はとにかく目に付くものにしか注目せず、回りには無頓着となります。これはすごい事を言っています。我々が日本人向けにWeb画面を作るには、全体をきちんと構成した上で、表現したいもの、強調したい事を明示する必要があります。細部や構成がしっかりできていないと全体が評価されないと言うこともあります。やはり日本人はまず回りを気にするようです。

このあたりの微妙な(というか大きな)違いが分かっていないと、Webビジネスは成功しないかも知れません。何か大げさな話となりましたが、私として気になったのは以下の点です。

(1) 日本のWebサイトは日本人の視点で作る

アメリカ人のユーザビリティの大家の受け売りでWeb画面を修正、構築するのは慎重にしないといけません。やはり日本人のユーザビリティ専門家が日本人の事を考えて評価する必要があります。日本人のコンサルティングが必要ということです。

(2) グローバルビジネスへの展開は慎重に

日本人がアジア圏以外の国にWeb画面を展開する際には、現地のユーザビリティ エンジニアの評価を受けた上で慎重にWeb画面を作る必要があります。逆に、外国から日本に進出してくる企業向けに対し、私のような(!)アジアと西洋の違いを認識している日本のユーザビリティ エンジニアがコンサルティングをしないと、Webでの日本進出は失敗するでしょう。

特に私はISOの会議でユーザビリティ規格を決定するプロセスに入り込んでいるので、外国人の考え方に何か納得できない所をず~っと感じていました。ISO規格というのは世界中の人が満足できるものでないといけないので、日本人独特の視点による意見というのは、重視される事はあっても無視されることはありません。やはり、アジア人のものの考え方に則って、日本人の意見を言うべきであると強く感じた次第です。

5月 23, 2004 ■ 目から鱗の本 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.04.06

■ 目から鱗の本(1)~ The Design Of Everyday Things

はっきり言って、この本は私の人生を変えてしまった本です。これはオーバーでも何でもありません。著者は Donald A. Normanです。認知心理学者であった Norman は、人々がいかに使いにくいものを使い続け、しかもうまく使えないのは、自分が悪いせいだと思っているという場面に何度も遭遇したと言います。しかし、悪いのは人ではなく、デザインである、という事がはっきり分かったため、この本を書いたそうです。米国のスリーマイルアイランドの原子力発電所の事故にしても、担当者のせいではなく、コントロールルームの設計が悪いために起こった事故だと結論付けています。

この本が書かれたのは1988年で、この本の2002年版が出ています。しかし、中に書かれている例や写真は古いままです。Normanはこの2002年版の序文の中で、まず次のように述べています。

The power of observation: If I have been successful, DOET (Design Of Everyday Things) will change the way you see the world. You will never look at a door or light switch the same way again. You will become an acute observer of people, of objects, and of the way they interact.

つまり、この本を読んでしまうと、物の見方が一変してしまうのです。見る目が変わるとはこの事です。私も初版本の日本語訳を読んで、大きな衝撃を受けました。その日を境にして、私の進む道が変わりました。

なぜ、2002年版が昔と同じままの古い例ゃ写真(本当に古い機器が並んでいます)で問題ないのかという質問には、次のように答えています。

Technology Changes Rapidly; People Change Slowly

The emphasis is on people, on how we, as human beings, interact with the physical objects in the world. This interaction is governed by our biology, psychology, society, and culture. Human biology and psychology do not change much with time: society and culture change very slowly.

また、ハイテクが進む世の中における、この本の位置付けについて、次のように述べています。

High technology changes rapidly, but everyday life changes slowly. As a result, DOET has not become dated: the broblems with everyday things are still there, and the principles described in DOET apply to all design, from low to high technology.

あるテクノロジでデザインが良くなっても、新しいテクノロジが出てくると、また同じ過ちを繰り返すので、この本は必要なのだ、という結論で、この序文が締めくくられています。ワイヤレスデバイスのテクノロジを例にあげて、以下のように述べています。

Each time a new technology comes along, new designers make the same horrible mistakes as their predecessors. Technologists are not noted for learning from the errors of the past. They look forward, not behind, so they repeat the same problems over and over again. Today's wireless devices are appalling. The principles in DOET are highly relevant.

この本については、英語版と、初版の日本語版(「誰のためのデザイン」)へのリンクの両方を載せておきます。

4月 6, 2004 ■ 目から鱗の本 | | コメント (2) | トラックバック (0)