2006.04.01

■ 正しい英語を書く(8) 冠詞と不定詞

英語の論文を書いていて、ふと自信がなくなったので、確認した事項が2点あります。

1) 名詞2つを and でつなげる時、後の名詞に冠詞は付けるか?
例えば、a framework and concept なんて書いて良いかどうかです。こんな時に頼りになるのが、このブログの右端の書籍紹介欄の「正しい英語を書く」の所で紹介している、The Chicago Manual of Styles ですね。ただ、この本のどこに載っているかを探すのに少し時間がかかりました。載っていたのは、Grammar and Usage の Articles as Limiting Adjectives の中でした。
5.74 Articles with coordinate nouns. With a series of coordinate nouns, an article should appear before each noun {the rosebush and the hedge need trimming} {a letter and a magazine came in the mail today}.
ということで、上記の例は、a framework and a concept と書くのが正しい事が分かりました。

2) 不定詞の動詞を副詞で修飾する場合に to の次に入れてよいか?

これは、例えば、to extract requirements に、systematically を入れて、to systematically extract requirements として良いかどうかを言っています。これについても上記の本た。これは同じく Grammar and Usage の Infinitives に載っていました。
5.106 Split infinitive. Although from about 1850 to 1925 many grammarians stated otherwise, it is now widely acknowledged that adverbs sometimes justifiably separate the to from the principal verb {they expect to more than doble their income next year}.
1925年あたりまでは、不定詞を分離してはいけなかったようです。これでは、いまいちはっきりしませんので、類似箇所を探し、次の箇所を見つけました。
5.160 Adverb within verb phrase. A verb's infinitive or to form is split when an intervening word immediately follows to {to bravely assert}. If the adverb bears the emphasis in a phrase {to boldly go} {to strongly favor}, then leave the split infinitive alone.
この記述から、定の to の後に副詞を入れて不定詞を分離しても良い事が分かります。しかし、不定詞を分離しない事もできる事が引き続き書かれています。
But if moving the adverb to the end of the phrase doesn't suggest a different meaning or impair the sound, then it is an acceptable way to avoid splitting the verb.
ということで、フレーズの最後に副詞を持ってきて不定詞を分離しない方法でも特に問題ない事が分かります。

やはり、この本は強力です。

4月 1, 2006 ■ 正しい英語を書く | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.08.12

■ 正しい英語を書く(7)~ 括弧とピリオド

では、括弧とピリオドの位置関係はどうなるのでしょうか?これについては、次のような記述があります。

When a complete sentence is enclosed in parentheses or brackets, the terminal period for that sentence is placed within them. When elements within a sentence are enclosed in parentheses or brackets, the sentence punctuation is placed outside.

[A Manual for Writers of Term Papers, Theses, and Dissertations (Sixth Edition)]

これは次の2つの事を言っています。

1. 文全体が括弧でくくられる場合は括弧の中に終端ピリオドを入れる
2. 文の一部が括弧でくくられる場合には、終端ピリオド等は外に出す。

最初の 1. に当たるものは、「正しい英語を書く(5)~ 一重と二重の引用符」の中の最初の引用文にあります。2. については、次の例文を見ると明快に分かります。

Myths have been accepted as literally true, then as allegorically true (by the Stoics), as confused history (by Euhemerus), as priestly lies (by the philosophers of the Enlightenment), and as imitative agricultural ritual mistaken for propositions (in the days of Frazer).

[A Manual for Writers of Term Papers, Theses, and Dissertations (Sixth Edition)]

8月 12, 2005 ■ 正しい英語を書く | | コメント (2) | トラックバック (0)

■ 正しい英語を書く(6)~ 疑問符、感嘆符、セミコロン等

このシリーズの (4) で書いたように、カンマとピリオドは特別な扱いですが、その他の疑問符、感嘆符、セミコロン等はどうなんだろうか?というのが関連した疑問として出てきました。これについては次のように書いてあります。

Colons, semicolons, question marks, and exclamation points. Unlike periods and commas, these all follow closing quotation marks unless a question mark or an exclamation point belongs within the quoted matter.

[The Chicago manual of style (15th edition)]

すなわち、疑問符や感嘆符が引用文に属するものでない限りは、閉じる引用符の後に来ると書いてあります。これを例で確認すると次のようになります。

1. Take, for example, the first line of "To a Skylark": "Hail to thee, blithe spirit!"
2. I was asked to state my "name and serial number"; I have no serial number.
3. Which of Shakespeare's character said, "All the world's a stage"?
4. "Where are you from?"
5. "Watch out!"

[The Chicago manual of style (15th edition)]

番号は説明の都合上、私が付けました(原文にはありません)。

1. 真ん中辺りのコロンは、To a Skylark とは関係ないので、外に出ています。
2. 真ん中辺りのセミコロンも 1. と同様の理由で外に出ています。
3. 最後の疑問符は、All the world's a stage とは関係なく Which と関係
4. 疑問符は Where に属するものなので引用符の中にあります。
5. この感嘆符も 4. と同じです。

8月 12, 2005 ■ 正しい英語を書く | | コメント (0) | トラックバック (0)

■ 正しい英語を書く(5)~ 一重と二重の引用符

カンマとピリオドの話を調べていて、気になった事がいくつかあります。まず、次の文章の最後の所にある、英国における引用符の使い分けに関する記述です。

This system, which requires extreme authorial precision and occasional decisions by the editor or typesetter, works best with single quotation marks. (The British tend to use double quotation marks only for quotations within quotations.)

[The Chicago manual of style (15th edition)]

これを読むと英国スタイルでは、一重引用符が主で、その中で更に引用する場合に二重引用符を使うように読めます。本当にそうなんでしょうか?

これはアメリカスタイルとは逆の使い方であるように思います。ちなみに The New York Times では次のように定めています。

quotation marks. Use double marks in news copy for direct quotation of speech or writing. A quotation within a quotation takes single marks: "I do not know the meaning of 'collegial,'" he said. "Please tell me."

[The New York Times Manual of Style and Usage]

だんだん英国スタイルがどういうものか?というイメージがぼやけてきました。

8月 12, 2005 ■ 正しい英語を書く | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.08.10

■ 正しい英語を書く(4)~ カンマとピリオド

人がしゃべった言葉などに付ける引用符(" ") がある場合のカンマとピリオドの使い方の話です。私はアメリカ流というか、アメリカのペーパーバックを読む事が多いので、次のような使い方に何も疑問を抱いていませんでした。

"That's all right," Vanadium said. "I bagged some at the scene."

[From The CORNER Of His EYE, Dean Koontz]

Vanadium は警官で、殺人現場で証拠品を袋に保存するシーンです。

すなわち、カンマとピリオドが引用符の中に取り込まれているスタイルです。これがアメリカでは正しいスタイルですね。しかし、かなりの数の日本人が次のように書いていて、私はこれを単なる間違いだろうと、ず~っと思っていました。

"That's all right", Vanadium said. "I bagged some at the scene".

しかし、最近になってふと気付いたのですが、英国スタイルの英文を書くことが義務づけられている ISO の文書ではカンマとピリオドを引用符の外に出しています。でもよ~く調べると、これは必ずしも完全には徹底されていません(単なる編集ミスだろうと思われます)。やはり「慣れ」は恐ろしいものです・・・が・・・英国スタイル (British style) なるものが存在する訳なのです。

ということで、気になるので少し調べてみました。

Periods and commas. Periods and commas precede closing quotation marks, whether double or single. This is a traditional style, in use well before the first edition of this manual (1906).

[The Chicago manual of style (15th edition)]

ということで、一重か二重かにはかかわらず、閉じる引用符の前にピリオドやカンマを置くのが、アメリカの伝統的スタイルだということが分かりました。しかし、この文章の後に次のような文章が続いています。

As nicely expressed in William Strunk Jr. and E. B. White's Elements of Style, "Typographical usage dictates that the comma be inside the [quotation] marks, though logically it often seems not to belong there" (bibliog. 1.1, P. 36). The same goes for the period.

[The Chicago manual of style (15th edition)]

カンマやピリオドは引用符の中に入れる事にはなっているが、論理的に考えるとその位置にあるのはおかしい、というようなニュアンスも読み取れます。

それで、肝心の英国スタイルですが、これについても同じ本の中で、次のように書かれています。

Alternate system. According to what is sometimes called the British style (set forth in The Oxford Guide to style [the successor to Hart's Rules; see bibliog. 1.1]), a style also followed in other English-speaking countries, only those punctuation points that appeared in the original material should be included within the quotation marks; all others follow the closing quotation marks.

[The Chicago manual of style (15th edition)]

これを読むと、英国スタイル(英国その他の英語を話す国々で使用)では、引用原文内以外のすべての場合で、ピリオドとカンマだけでなくセミコロンなども「閉じる方の引用符 (closing quotation mark)」の右側に出る事が分かります。

この英国スタイルでは、オリジナル資料(原文)については、これを尊重する姿勢を見せていますが、アメリカの場合にはどうか?という事が気になります。すなわち、アメリカ人が英国スタイルの文章を引用する場合にはどうするのだろうか?と言うことですね。これについては、アメリカ人が書いた "A Manual for Writers of Term Papers, Theses, and Dissertations (Sixth Edition)"の中に次のような記述があります。

In American usage, a final comma or period always precedes a closing quotation mark, whether it is part of the quoted matter or not.

[A Manual for Writers of Term Papers, Theses, and Dissertations (Sixth Edition)]

引用かどうかに関わらず、すべてアメリカ流で処理してしまうと書いてありますね。

手元にある本は、ほとんど米国で印刷されたものばかりで、純粋に英国の本というものがあまり無く、実情については詳しく分かりませんが、少なくとも最近の Penguin Books を見るとアメリカスタイルになっていました。英国の現在の状況というか傾向を知りたいものです。

8月 10, 2005 ■ 正しい英語を書く | | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.07.17

■ 正しい英語を書く(3)~ お勧め本

このシリーズは全然、進んでいませんが、正しい英語、力強い英語を書く上で非常に参考になる本があります。また、この本の内容があまりにもすばらしいので、少しずつ紹介していくことにします。詳しくはラスベガスへの出張から戻ってきてからになりますが、大体、どんな本なのかを説明します。

art_of_styling_sentences
The Art of Styling Sentences

なぜ、この本を買ったのかを思い出せませんが、きちんとした英語を書くのに必要だと思ったから買ったと思います。表紙には、次のように書いてあります。

・ Learn to master 20 basic sentence patterns
・ Write clear, coherent, eloquent sentences
・ Improve your style by studying examples of
   of well-known writers

これでは、あまり食指が動きません。しかし、中を見ると、Pattern 1 はいきなり、セミコロン(;) を使って文章を組み立てるにはどうすれば良いか?というものです。どういう場合に利用し、どういう効果があり、そのバリエーションは?ということが豊富な例題で明らかにされているのです。ん?これはいいかも、と思って読み進むと、次はコロン(:) の使い方、series ( A, B, C A, B, and C など)の使い分けや組み立て方、ダッシュ(--)の使い方などが、細かく説明されています。ほんの少し読んだだけでも、日本人が弱いというか、まとまった説明を見た事がない話ばかり続き、感覚的に何となく理解していた事について説得力ある説明が並んでいます。

順に紹介していこうとは思いますが、この本は150ページほどの手頃な本で、値段も1,000円程度ですから買っても全く損はありませんし、読み切る事も困難では無いと思います。コロンやセミコロンを正しく使う事から始めて、英語の文章にリズムや力強さを付けたいと考えている人にとっては、絶好の本です。

右側の欄のリンクにも入れておきます。

7月 17, 2005 ■ 正しい英語を書く | | コメント (2) | トラックバック (0)

2004.07.01

■ 正しい英語を書く (2) ~ a と an

正しい英語を書くための本に書いてある英語は正しいという前提でいけば、正しい英語の書き方を解説している文章そのものも大変参考になります。ということで、どういう解説をしているかが分かるようにできるだけ引用していきます。

Choosing "a" or "an." With the indefinite article, the choice of a or an depends on the sound of the word it precedes. A comes before words with a consonant sound, including /y/, /h/, and /w/, no matter how the word is spelled {a eulogy} {a hotel suite} {a Ouachita tribe member}. An comes before words with a vowel sound {an LSAT exam room} {an X-Files episode} {an hour ago}. ("The Chicago Manual of Style 15th edition")

原則としては、綴りと関係なく発音が子音で始まる単語の前には "a" を付け、発音が母音で始まる単語の前には "an" を付けるようです。an X-Files というのは分かりやすいですね。

a と an には直接関係ないのですが、"an." という文の終わり方は一般的です。これを "an". と書く人も相当います。プロの作家の中でも統一が取れていないのは、多数の本を読んでいるので感じています。しかし、このように引用符の中にピリオドを入れ込んでおいた方が無難だと思います。しかし、{an}. というように書いているので、必ずしも、何でも同じように書くという訳ではないようです。

上記の説明の中にもありますが、abbreviation の場合などには、多少注意が必要です。

Before an abbreviation, a numeral, or a symbol, the use of a or an depends on how the term is pronounced. In the first example below, MS would be pronounced em ess; in the second, it would be pronounced manuscript.

an MS treatment a MS in the National Library an NBC anchor an 800 number a URL an @ sign an HTML document describing a HUD program ("The Chicago Manual of Style 15th edition")

この例は注意深く見て理解しておく事をお勧めします。最後の例など、HUD はたぶんハッドとでも読むのでしょう。an 800 number という書き方も注目されます。このような書き方をする必要性も出てくる場合もあるでしょう。

7月 1, 2004 ■ 正しい英語を書く | | コメント (4) | トラックバック (0)

2004.06.30

■ 正しい英語を書く (1) ~ まずは本の紹介から

ISO で国際規格を審議・制定する仕事に関わっているため、正しい英語を書く必要性に迫られています。ISO の会議の場では、英語を母国語としない人が多数派であり、提出される文書を読んでいても、英語が正しく使われていないケースが多々あります。文法的に間違っているのを頻繁にみかけるのです。こういうものを見ると、「な~んだ、それほど気にしなくても通じればいいんだ」と思う人もいるかも知れません。私の場合は逆に「人の振り見て我が振り直せ」で、自分の英語のつたなさを反省し、基礎から勉強し直す必要性を強く感じてしまいました。

この「正しい英語を書く」というのは、なかなかできない事だとは思います。自分の場合を考えても、TOEICのReading部門で満点を取った事があるとはいっても毎回満点を取れる訳ではないし、本を500冊以上読んでいるとは言っても読み流しているだけだし、Listeningも2時間も続けると頭がまひしてくるし、語彙のテストをするとネイティブを平均としてabove averageとなるとはいっても辞書を手放せないし・・・これでは英語が身に付いて使いこなせるという状態にはほど遠い気がしてきました。

そこで一から出直すために、ネイティブ向けに書かれた英語の書き方のような本も勉強することにしました。しかし、本を最初から読んでいくのも長続きしそうにないし、英語を書いていく中でぶち当たる疑問を契機として、調べていき、その内容をここに書いていって、マスターすることにしました。

まずは、本の紹介から。

"The Essential Guide for Writers, Editors, and Publishers" という副題が付いている "The Chicago Manual of Style 15th edition"です。これは1000ページ近くあるので辞書的に使う本です。それと読み物風の "Grammatically CORRECT" の2冊でまずは勉強していきます。

世の中には正しくない英語があふれ返っています。通じれば良いというのであれば、気にする必要はありませんが、英語を使っていく状況の中で相手から信頼を勝ち取りたいという方には、正しい英語を理解している事が強力な武器となります。この際、一緒に正しい英語を勉強して行きませんか?

次回はまず、基本中の基本である、a と an の正しい使い分け方から始めます。

6月 30, 2004 ■ 正しい英語を書く | | コメント (0) | トラックバック (0)