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2005.08.10

■ 正しい英語を書く(4)~ カンマとピリオド

人がしゃべった言葉などに付ける引用符(" ") がある場合のカンマとピリオドの使い方の話です。私はアメリカ流というか、アメリカのペーパーバックを読む事が多いので、次のような使い方に何も疑問を抱いていませんでした。

"That's all right," Vanadium said. "I bagged some at the scene."

[From The CORNER Of His EYE, Dean Koontz]

Vanadium は警官で、殺人現場で証拠品を袋に保存するシーンです。

すなわち、カンマとピリオドが引用符の中に取り込まれているスタイルです。これがアメリカでは正しいスタイルですね。しかし、かなりの数の日本人が次のように書いていて、私はこれを単なる間違いだろうと、ず~っと思っていました。

"That's all right", Vanadium said. "I bagged some at the scene".

しかし、最近になってふと気付いたのですが、英国スタイルの英文を書くことが義務づけられている ISO の文書ではカンマとピリオドを引用符の外に出しています。でもよ~く調べると、これは必ずしも完全には徹底されていません(単なる編集ミスだろうと思われます)。やはり「慣れ」は恐ろしいものです・・・が・・・英国スタイル (British style) なるものが存在する訳なのです。

ということで、気になるので少し調べてみました。

Periods and commas. Periods and commas precede closing quotation marks, whether double or single. This is a traditional style, in use well before the first edition of this manual (1906).

[The Chicago manual of style (15th edition)]

ということで、一重か二重かにはかかわらず、閉じる引用符の前にピリオドやカンマを置くのが、アメリカの伝統的スタイルだということが分かりました。しかし、この文章の後に次のような文章が続いています。

As nicely expressed in William Strunk Jr. and E. B. White's Elements of Style, "Typographical usage dictates that the comma be inside the [quotation] marks, though logically it often seems not to belong there" (bibliog. 1.1, P. 36). The same goes for the period.

[The Chicago manual of style (15th edition)]

カンマやピリオドは引用符の中に入れる事にはなっているが、論理的に考えるとその位置にあるのはおかしい、というようなニュアンスも読み取れます。

それで、肝心の英国スタイルですが、これについても同じ本の中で、次のように書かれています。

Alternate system. According to what is sometimes called the British style (set forth in The Oxford Guide to style [the successor to Hart's Rules; see bibliog. 1.1]), a style also followed in other English-speaking countries, only those punctuation points that appeared in the original material should be included within the quotation marks; all others follow the closing quotation marks.

[The Chicago manual of style (15th edition)]

これを読むと、英国スタイル(英国その他の英語を話す国々で使用)では、引用原文内以外のすべての場合で、ピリオドとカンマだけでなくセミコロンなども「閉じる方の引用符 (closing quotation mark)」の右側に出る事が分かります。

この英国スタイルでは、オリジナル資料(原文)については、これを尊重する姿勢を見せていますが、アメリカの場合にはどうか?という事が気になります。すなわち、アメリカ人が英国スタイルの文章を引用する場合にはどうするのだろうか?と言うことですね。これについては、アメリカ人が書いた "A Manual for Writers of Term Papers, Theses, and Dissertations (Sixth Edition)"の中に次のような記述があります。

In American usage, a final comma or period always precedes a closing quotation mark, whether it is part of the quoted matter or not.

[A Manual for Writers of Term Papers, Theses, and Dissertations (Sixth Edition)]

引用かどうかに関わらず、すべてアメリカ流で処理してしまうと書いてありますね。

手元にある本は、ほとんど米国で印刷されたものばかりで、純粋に英国の本というものがあまり無く、実情については詳しく分かりませんが、少なくとも最近の Penguin Books を見るとアメリカスタイルになっていました。英国の現在の状況というか傾向を知りたいものです。

8月 10, 2005 ■ 正しい英語を書く |

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コメント

この手のことはぜんぜん考えずに無意識で流していました。
私は引用文はまず書かないので特に混乱もしてなかったです。でもCUBEさんのおっしゃる英国式は私の身にもついてるような気がします。
引用文のあるような英国の本が手元にないのですが、とりあえず今目の前にあるハリポタの最新刊なぞを見ると会話文の場合は一重引用符でくくり、ピリオド、カンマ、疑問符、感嘆符などはカッコの中ですね。こんなものにアメリカと英国で差があるとは夢にも思ってませんでした...

投稿: あすとる | 2005/08/17 11:16:53

英国版のハリポタから米国版のハリポタを起こす場合には、「翻訳」が行われると聞いた事がありますので、やはり英国スタイルから米国スタイルへの変換が行われるのだと思います。基本的にどこをどう直す事を指しているのかを詳しく知りたいですね。そんな事を詳しく書いた本を探したいです・・・。

投稿: CUBE290 | 2005/08/17 22:40:14

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